ハートロッカー
だけど、三春が中学１年生の時に育ての母親が乳がんでこの世を去った。

母親の葬儀が終わって遺品を片づけていた時、三春は彼女がつけていた日記を見つけてしまった。

それを見た三春は、自分が愛人の子だって言う事実を知ったんだ。

そこからだったな、三春の素行が悪くなったのは。

遅刻や無断欠勤をするようになったんだ。

家族はそれに気づかなかった。

母親を亡くしたばかりだから、精神的に不安定なんだろう――それくらいにしか思っていなかった。

三春が中学１年生の冬に、事件が起こった。

駅前の本屋――３年前に潰れて今はもうないんだけど、そこで三春がマンガを万引きして店主に見つかって警察に連行された。

警察には父親が迎えに行って、店主に何度も謝罪した。

同時に、今までの三春の行動を家族は全部知った。
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