スイートな御曹司と愛されルームシェア
もう共同出資経営者でなくなったとはいえ、咲良はきっぱりと言った。
「いや、そうは言っても、それは僕たちの一存ではどうにもならないんですよ」
恭平がお手上げというように両手を挙げた。咲良の脳裏に、翔太の手紙の一文が蘇る。〝今まで面倒を見てくれたお礼に、咲良さんのために俺にできる精一杯のことをしたいと思います〟。
(でも、いくら元TDホールディングス経営企画部長だからって、彼一人に他社の吸収合併を進める力があるとは思えない。考えすぎよね)
そう思ったが、どうしても引っかかった。彼から直接説明を聞きたいが、連絡先はわからない。まさか突然いなくなるとは思っていなかったので、携帯番号などの連絡先を訊いていなかったことを後悔した。
「それに、僕としては岡崎先生に残ってもらえるので、TDの決定を歓迎したいくらいなんです」
岡崎先生だってその方がいいでしょう、と恭平がつぶやくように言った。
「いや、そうは言っても、それは僕たちの一存ではどうにもならないんですよ」
恭平がお手上げというように両手を挙げた。咲良の脳裏に、翔太の手紙の一文が蘇る。〝今まで面倒を見てくれたお礼に、咲良さんのために俺にできる精一杯のことをしたいと思います〟。
(でも、いくら元TDホールディングス経営企画部長だからって、彼一人に他社の吸収合併を進める力があるとは思えない。考えすぎよね)
そう思ったが、どうしても引っかかった。彼から直接説明を聞きたいが、連絡先はわからない。まさか突然いなくなるとは思っていなかったので、携帯番号などの連絡先を訊いていなかったことを後悔した。
「それに、僕としては岡崎先生に残ってもらえるので、TDの決定を歓迎したいくらいなんです」
岡崎先生だってその方がいいでしょう、と恭平がつぶやくように言った。