スイートな御曹司と愛されルームシェア
第七章 仕組まれていました
次の仕事の当てもなかった咲良だが、こんな形での留任は腑に落ちなかった。担当できる講義もなければ、受け持てる生徒もいないのだから。
(こんなの、まるで飼い殺しじゃない)
ムカムカした気持ちのままマンションのエントランスに向かうと、来客用駐車場に黒い高級外国車が駐まっていて、その横に黒いスーツ姿の初老の男が立っているのが見えた。単身者の多いマンションには場違いね、と思いながら、たいして気にとめずにエントランスを通り、エレベーターに乗った。五階で降りて廊下に足を踏み出したとき、自分の部屋の前に長身の男が佇んでいるのが見えて、咲良の鼓動が速まる。
(まさか)
細身の黒いスーツ姿だが、背格好は翔太に似ている。ドキドキしながら男に近づいた咲良は、相手の顔を見て心底がっかりした。端整な顔立ちだが、翔太とは違う三十代半ばくらいの男だったのだ。
「うちに何かご用ですか」
何かの勧誘だろうか、と警戒しながら見上げると、男は冷たい眼差しで咲良を見た。
「あんたが岡崎咲良さん?」
(こんなの、まるで飼い殺しじゃない)
ムカムカした気持ちのままマンションのエントランスに向かうと、来客用駐車場に黒い高級外国車が駐まっていて、その横に黒いスーツ姿の初老の男が立っているのが見えた。単身者の多いマンションには場違いね、と思いながら、たいして気にとめずにエントランスを通り、エレベーターに乗った。五階で降りて廊下に足を踏み出したとき、自分の部屋の前に長身の男が佇んでいるのが見えて、咲良の鼓動が速まる。
(まさか)
細身の黒いスーツ姿だが、背格好は翔太に似ている。ドキドキしながら男に近づいた咲良は、相手の顔を見て心底がっかりした。端整な顔立ちだが、翔太とは違う三十代半ばくらいの男だったのだ。
「うちに何かご用ですか」
何かの勧誘だろうか、と警戒しながら見上げると、男は冷たい眼差しで咲良を見た。
「あんたが岡崎咲良さん?」