スイートな御曹司と愛されルームシェア
「実は……私、お腹に赤ちゃんが……」
果穂の言葉に、咲良は横面どころか後頭部を強打されたくらいの衝撃を受けた。
「あ、赤ちゃん……」
その言葉がぐわんぐわん響く頭で咲良は考える。
出産で退職した事務職員の代わりに新卒の果穂を雇ったのは一年前だ。ということは果穂は今、二十三歳か二十四歳。別に子どもを産んだっておかしくはない……。
「やっぱり急な話で驚いちゃいますよね」
果穂の言葉に、咲良はゆっくりと瞬きをした。
「でも、そうしたら仕事は?」
咲良が問うと、果穂を見た恭平が彼女の代わりに答える。
「現時点では今まで通り働いてもらおうと思ってる。ただ、つわりとかもあるし、今後は産休育休も考えなくちゃいけないから、受け付け担当の契約社員を一人採用しようかと思っているんだ」
「でも、今だって結構カツカツでやりくりしてるのに……」
いくら市街地から離れているとはいえ、個別指導の塾が一軒近くにある。それに、電車に乗れば大阪市内の大手進学塾や有名予備校に通える距離であるため、咲良たちの経営する創智学院も競争にさらされている。ほかと競合できるような授業料で質の高い講義を行うのだから、個人経営の塾としてはかなり無理をしてがんばっていると思う。
だが、そんな咲良の心配をよそに、恭平が笑って言う。
「生徒のことももちろん大事だけど、僕にとっては果穂もとても大切なんだ。今まで果穂と一緒にがんばってきた咲良さんなら、僕の気持ちを理解してくれると思ったんだけどな」
咲良は返事に窮した。彼は咲良のことを〝大切なパートナー〟だと言ってくれた。だが、それは今までと変わらない〝ビジネス・パートナー〟という意味だったようだ。彼が女性として〝とても大切〟に思っているのは目の前の果穂である。
咲良の気持ちを知らない恭平の言葉は、あまりにも残酷だった。
果穂の言葉に、咲良は横面どころか後頭部を強打されたくらいの衝撃を受けた。
「あ、赤ちゃん……」
その言葉がぐわんぐわん響く頭で咲良は考える。
出産で退職した事務職員の代わりに新卒の果穂を雇ったのは一年前だ。ということは果穂は今、二十三歳か二十四歳。別に子どもを産んだっておかしくはない……。
「やっぱり急な話で驚いちゃいますよね」
果穂の言葉に、咲良はゆっくりと瞬きをした。
「でも、そうしたら仕事は?」
咲良が問うと、果穂を見た恭平が彼女の代わりに答える。
「現時点では今まで通り働いてもらおうと思ってる。ただ、つわりとかもあるし、今後は産休育休も考えなくちゃいけないから、受け付け担当の契約社員を一人採用しようかと思っているんだ」
「でも、今だって結構カツカツでやりくりしてるのに……」
いくら市街地から離れているとはいえ、個別指導の塾が一軒近くにある。それに、電車に乗れば大阪市内の大手進学塾や有名予備校に通える距離であるため、咲良たちの経営する創智学院も競争にさらされている。ほかと競合できるような授業料で質の高い講義を行うのだから、個人経営の塾としてはかなり無理をしてがんばっていると思う。
だが、そんな咲良の心配をよそに、恭平が笑って言う。
「生徒のことももちろん大事だけど、僕にとっては果穂もとても大切なんだ。今まで果穂と一緒にがんばってきた咲良さんなら、僕の気持ちを理解してくれると思ったんだけどな」
咲良は返事に窮した。彼は咲良のことを〝大切なパートナー〟だと言ってくれた。だが、それは今までと変わらない〝ビジネス・パートナー〟という意味だったようだ。彼が女性として〝とても大切〟に思っているのは目の前の果穂である。
咲良の気持ちを知らない恭平の言葉は、あまりにも残酷だった。