スイートな御曹司と愛されルームシェア
「ま、まあ、わかりやすく言うとそういうことね」
「でも俺、子どもの頃、近所の犬とよく遊びましたけど、抱きついたりキスしたりしましたよ。咲良さんだってラッキーとしたんでしょう?」
「そ、それはそうだけど……」
しどろもどろになる咲良に、翔太がニヤッと笑う。今までとは違う、余裕を感じさせる笑みに、咲良はあわててしまう。
「へ、変なことしようとしたら、その時点であなたを追い出すからねっ」
「ふぅん、分が悪くなるとそう来るわけですね」
翔太のニヤニヤ笑いが大きくなる。
「な、生意気ぃ」
咲良の真っ赤な顔を見て、翔太のからかうような笑みが大きくなったが、すぐに真面目な表情になる。
「嘘ですよ。恩人に言われたことはきちんと守ります」
その言葉にホッとして、咲良は肩の力を抜いた。なんだかすごく疲れた気がする。従順そうだからいいかと思ったけれど、実はとんでもない拾いものをしてしまったのかもしれない。