スイートな御曹司と愛されルームシェア
「大丈夫だってば。それよりお会計しないと」

 そう言って立ち上がると、翔太が咲良に並ぶ。

「あ、俺が払います」
「いいわ、私が誘ったんだから」
「でも、俺も楽しみましたから」
「いいの。岡崎先生に任せておきなさい」

 そう言うと咲良は翔太の肩を押さえつけるようにしてソファに座らせ、フロントの精算コーナーに向かった。レジ前の女性店員がぼーっと一点を見つめているので、視線の先を追うと、そこにはドリンクを飲んでいる翔太がいる。

(なるほど、彼に見とれているってワケね。確かにかわいい系のイケメンだもんね)

 内心優越感を覚えながら、咲良はおもむろに言った。
「岡崎です。コートとラケットとシューズのレンタル料の精算をお願いします」
「あ、は、はい」

 店員は我に返ったように咲良を見て瞬きをすると、精算手続きを始めた。
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