スイートな御曹司と愛されルームシェア
「でも、一年前に辞めましたから」
「そうか。さすがに経営企画部長じゃ忙しそうだものねえ」
翔太が曖昧な笑みを浮かべたので、咲良は助け船を出すことにする。
「お父さん、今日はナイターの試合があるんじゃないの? テレビつけようか」
「お、頼む」
咲良がテレビをつけたとき、母がダイニングに料理を運んできて、不満そうに言った。
「あーあ、結局つけちゃったのね。お客様が来る今日ぐらいはやめておきなさいって言ってたのに」
「いいじゃないか、翔太くんも見たいだろうから」
そこに貴裕も混ざって、男性陣はテレビを見ながらビール片手に盛り上がり始めた。野球にあまり興味のない百々花が、咲良の隣に座ってそっと耳打ちする。
「翔太さんってお姉ちゃんと全然タイプが違うから、お姉ちゃんがホストでも雇って連れてきたのかと思ってたわ」
妹の失礼な発言に、咲良は苦笑する。
「私ってそんなに切羽詰まってそうだった?」
「んー、実はお姉ちゃんに〝彼氏は?〟とかしつこく言い過ぎたかなって反省したの」
「ふうん、それならその殊勝な気持ちを、ぜひこれからも持ち続けてほしいものね」
咲良が冗談っぽく言うと、百々花はふふ、と笑って視線を未来の夫に向けた。その横顔から感じられる輝くような幸福感は、果穂のものと似ている気がした。
「いいなぁ」
思わずぽつりと言うと、百々花が咲良を見た。
「そうか。さすがに経営企画部長じゃ忙しそうだものねえ」
翔太が曖昧な笑みを浮かべたので、咲良は助け船を出すことにする。
「お父さん、今日はナイターの試合があるんじゃないの? テレビつけようか」
「お、頼む」
咲良がテレビをつけたとき、母がダイニングに料理を運んできて、不満そうに言った。
「あーあ、結局つけちゃったのね。お客様が来る今日ぐらいはやめておきなさいって言ってたのに」
「いいじゃないか、翔太くんも見たいだろうから」
そこに貴裕も混ざって、男性陣はテレビを見ながらビール片手に盛り上がり始めた。野球にあまり興味のない百々花が、咲良の隣に座ってそっと耳打ちする。
「翔太さんってお姉ちゃんと全然タイプが違うから、お姉ちゃんがホストでも雇って連れてきたのかと思ってたわ」
妹の失礼な発言に、咲良は苦笑する。
「私ってそんなに切羽詰まってそうだった?」
「んー、実はお姉ちゃんに〝彼氏は?〟とかしつこく言い過ぎたかなって反省したの」
「ふうん、それならその殊勝な気持ちを、ぜひこれからも持ち続けてほしいものね」
咲良が冗談っぽく言うと、百々花はふふ、と笑って視線を未来の夫に向けた。その横顔から感じられる輝くような幸福感は、果穂のものと似ている気がした。
「いいなぁ」
思わずぽつりと言うと、百々花が咲良を見た。