スイートな御曹司と愛されルームシェア
「何が?」
「や、うちの塾の塾長が事務員と結婚することになってさ。その事務員も百々花みたいに幸せそうな笑顔をしてたから」
「お姉ちゃんだってもうすぐなんでしょ?」
百々花の問いかけに、咲良はあわてて顔の前で両手を振る。
「まだ付き合って一ヵ月だもん。そんなすぐ結婚とかありえないよ」
「そうかなぁ? ぐずぐずしてたら、ほかの女に翔太さんを取られちゃうかもよ? お姉ちゃんに出会ったときにフリーで、しかもお姉ちゃんと付き合ってくれるなんて、奇跡にも等しいことなんだから」
「ちょっと、百々花、失礼すぎよ」
咲良が妹の額を軽く小突くと、百々花は「へへ、ごめん」と言って小さく舌を出した。
(私と翔太くんってそんなに釣り合わなさそうかな?)
咲良が視線を翔太に移すと、彼は突然ソファから前のめりになった。そうして膝の上で拳を握りしめ、食い入るようにテレビ画面を見つめている。よく見ると父と貴裕も同じ姿勢で同じ表情をしている。
「入れぇ!」
三人同時に声を上げ、ソファから腰を浮かせる。咲良がテレビ画面を見ると、大きく伸びた打球を敵チームのレフトが追いかけているところだった。
「入れ! 入れ!」
男性陣の拳に力が入る。次の瞬間、ボールが観客席に飛び込み、翔太と貴裕が飛び上がってハイタッチをした。
「やった!」
いい歳をした大人の男が三人も子どものようにはしゃいでいる。
(三人を見ている方が、野球の試合を見ているよりもおもしろいかも)
そう思って咲良が含み笑いをすると、翔太が咲良に満面の笑みを向けた。
「や、うちの塾の塾長が事務員と結婚することになってさ。その事務員も百々花みたいに幸せそうな笑顔をしてたから」
「お姉ちゃんだってもうすぐなんでしょ?」
百々花の問いかけに、咲良はあわてて顔の前で両手を振る。
「まだ付き合って一ヵ月だもん。そんなすぐ結婚とかありえないよ」
「そうかなぁ? ぐずぐずしてたら、ほかの女に翔太さんを取られちゃうかもよ? お姉ちゃんに出会ったときにフリーで、しかもお姉ちゃんと付き合ってくれるなんて、奇跡にも等しいことなんだから」
「ちょっと、百々花、失礼すぎよ」
咲良が妹の額を軽く小突くと、百々花は「へへ、ごめん」と言って小さく舌を出した。
(私と翔太くんってそんなに釣り合わなさそうかな?)
咲良が視線を翔太に移すと、彼は突然ソファから前のめりになった。そうして膝の上で拳を握りしめ、食い入るようにテレビ画面を見つめている。よく見ると父と貴裕も同じ姿勢で同じ表情をしている。
「入れぇ!」
三人同時に声を上げ、ソファから腰を浮かせる。咲良がテレビ画面を見ると、大きく伸びた打球を敵チームのレフトが追いかけているところだった。
「入れ! 入れ!」
男性陣の拳に力が入る。次の瞬間、ボールが観客席に飛び込み、翔太と貴裕が飛び上がってハイタッチをした。
「やった!」
いい歳をした大人の男が三人も子どものようにはしゃいでいる。
(三人を見ている方が、野球の試合を見ているよりもおもしろいかも)
そう思って咲良が含み笑いをすると、翔太が咲良に満面の笑みを向けた。