スイートな御曹司と愛されルームシェア
「今のホームラン、咲良さんも見てました? 内角ギリギリの難しいコースをよく運びましたね~! さすがだ!」
「うん、よかった」

 咲良は贔屓のチームの打者がホームランを打ったことよりも、翔太の楽しそうな表情に対してそう言った。翔太は笑顔のまま言う。

「咲良さん、すごく楽しいです! 家族みんなでテレビを見るってこんな感じなんだ。いいなぁ、すごくいいなぁ。こんなにも盛り上がるんですねっ」

 ふと翔太の家族構成について訊いてみたくなったが、さすがに今ここで訊くのはまずそうだ。

 そう思って咲良が黙っていると、男三人がまた大声を上げる。

「あーっ、今の球を見逃すか? あれを打たないでどの球を打つんだよ!」

 そうして三人揃って悔しがっている。その様子が呆れるほど微笑ましい。

(どうなることかと思ったけど、みんな楽しそうだから、まぁいっか)

 咲良は小さく肩をすくめ、くるくるとよく変わる翔太の表情を、目元を緩めながら飽きることなく眺めた。
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