スイートな御曹司と愛されルームシェア
 私が休んだら誰がやるんだろう。そう考えたとき、諦めたような笑みが漏れた。

(そうだ、果穂さんに引き継げばいいんだ。というより、引き継がなくちゃいけないよね……。でも、そうしたら私の居場所がなくなるわ。私はどこに行けばいいの?)

 咲良はすがるように両手を伸ばした。翔太が咲良の手を取って彼の首に絡ませ、咲良を抱き寄せながら横になる。彼の温かく力強い腕の中に包まれていると、咲良の乱れて荒れ狂っていた気持ちが、少しずつなだめられていく。じわじわと安心感が湧き上がってきて、そっと目を閉じたとき、まぶたに柔らかく温かいキスが落とされた。

「今は何も考えないでここにいてください。眠るまで、俺がずっとそばにいてあげます。ラッキーがしていたようにね」

 まぶたへのキスの合間にささやく翔太の声は、どこまでも甘く優しかった。
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