スイートな御曹司と愛されルームシェア
「でも、ラッキーが舐めたのはほっぺただけだけど」

　小声で言って、翔太の血色のいい唇を指先でなぞる。

「んー……」

　彼がつぶやくような声を漏らし、寝返りを打とうとして……。

「翔太くん、落ちるっ！」

　咲良がしがみついたときには、翔太の体はベッドから半分ずり落ちていて、次の瞬間には咲良の背中は冷たいフローリングの上にあった。落ちる際に半転したため、咲良が翔太の下敷きになってしまったのだ。

「ああ、もう、私が守ってあげてどうするのよ」

　そうつぶやきながらも、体に感じる彼の重さ、肌で感じる彼の温もりに、胸が温かくなる。一人じゃないことが嬉しくて、翔太の背中にそっと手を回したとき、彼がぼんやりとまぶたを開けて、視線が合った。

「咲良さん……おはようございます」

　翔太がとろりとした寝起きの顔で瞬きをした。思わずキュンとしてしまい、自然に笑みが込み上げてくる。

「ん、おはよう。あなたの寝起きの顔をこうしてずっと眺めていてもいいんだけど、重いからそろそろどいてくれないかな？」

　咲良の言葉に、翔太がギョッとしたように上体を起こした。

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