スイートな御曹司と愛されルームシェア
「わ、なんでこんなところに……そうだ、俺、昨日はあのままベッドで寝てしまって……」

 翔太が跳ね起きて床に両手をつき、頭を下げる。

「す、すみません、咲良さんっ。ソファで寝る約束だったのに……」

 その恐縮している様子に、咲良の笑みが大きくなった。昨日の彼はとても大きくて頼りがいがあったのに、やっぱりかわいい年下の男だ。

「いいわ。昨日は特別。私も……その、そばにいてくれて嬉しかったし」

 咲良が起き上がって顔にかかるセミロングの髪を掻き上げたとき、翔太が顔を上げて熱っぽい目でじっと見ているのに気づいた。

「何よ、寝起きの顔なんだから、あまりじろじろ見ないでよ」

 とたんに翔太の頬に朱が差した。

「や、すみません。なんか……髪を掻き上げる仕草が妙に色っぽくて……」

 その言葉に、咲良の頬がカッと熱くなる。

「お、おかしいんじゃないの。顔も洗ってないすっぴんなのに」
「だからこそです。飾らない咲良さんはいつもよりずっとキレイだ」

 異性に熱い眼差しで見つめられるという慣れない事態に戸惑い、咲良は立ち上がって翔太に背を向けた。

「昨日の夜、十分慰めてもらったから、もうそんなお世辞なんて言わなくていいのっ」

 それだけ言うと、顔を洗うべく洗面所に向かった。
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