適当魔法少女・りおん!!
席を立ち、各国代表達が雑談と握手を交わす――。
あろう事か、非難しあっていた常任理事国、日本代表も先程までの「攻防戦」をあっさりと忘れ、互いに雑談を楽しみ、笑い、力強い握手や抱擁を交わす――。
瞳は笑い、右手で親愛なる握手を交わし、信頼と敬意の抱擁――。
しかし、左手には相手を殺す「欺瞞」で鋭利なナイフを隠し持つ事を忘れてはいない――。
こうして世界は廻り、踊る――。
「という具合だりおん――何か感想はあるか――」
「いや、感想ってステッキさん――この映像、何処から手に入れたの――」
「ふふふっ、私にも色々と伝があるのだ――」
「だからって、スマホの動画レベルで済ませばいいものを、わざわざブルーレイに4K画質でダビングしてサラウンド仕様って、ご丁寧にも程があるよ――」
アリスとの出逢いに、心救われたその日の夜、面白いものがあるとステッキさんに薦められ、オーディオシステムを起動させて観た代物は、自らの処遇を巡って小芝居に興じる大人達の姿だった――。
「場の空気を再現する為に、高画質、高音質に拘った――この会議自体、我々には観る事も、知る事も許されないのだ――」
得意気に「背筋」を伸ばし言うステッキさん――。