適当魔法少女・りおん!!
高層階からの、現実の営みの風景――。
視点が変わる事による、戸惑いと高揚感の同居――。
この感覚も、あと3、4日もすれば、りおんの無意識に組み込まれ、「日常」となる――。
ステッキさんは、ご丁寧に指定した時間の5分前にりおんを起こした――。
「おはよう――」
表情と声色は、いつも通りに見えた――。
シャワーを浴び、ステッキさんが「用意」した制服に身を包み、「わざとらしい」父の作った朝食を食べる――。
「行ってきます――」
思惑通りやって来ないエレベーターに眉をひきつらせ、セキュリティを言い訳にした複数回に及ぶドア解除に、ため息を漏らす――。
「行ってらっしゃい――」
24時間常駐するドアマンの「いらぬ」気遣いに顔を伏せ、駆け足気味でりおんは新しい住居を後にする――。
地下鉄の駅に辿り着き、二駅先で降り、転入する学校へと向かう――「転校する事になりました――」宣言から3日が過ぎていた――。
とぼとぼ歩くりおんを、同じ制服を着た女子、男子生徒達が、楽しい会話を交わしながら追い越してゆく――。
「出遅れた――」
りおんの足は、重さを増す――。