適当魔法少女・りおん!!

高層階からの、現実の営みの風景――。


視点が変わる事による、戸惑いと高揚感の同居――。


この感覚も、あと3、4日もすれば、りおんの無意識に組み込まれ、「日常」となる――。



ステッキさんは、ご丁寧に指定した時間の5分前にりおんを起こした――。




「おはよう――」


表情と声色は、いつも通りに見えた――。


シャワーを浴び、ステッキさんが「用意」した制服に身を包み、「わざとらしい」父の作った朝食を食べる――。




「行ってきます――」


思惑通りやって来ないエレベーターに眉をひきつらせ、セキュリティを言い訳にした複数回に及ぶドア解除に、ため息を漏らす――。



「行ってらっしゃい――」


24時間常駐するドアマンの「いらぬ」気遣いに顔を伏せ、駆け足気味でりおんは新しい住居を後にする――。


地下鉄の駅に辿り着き、二駅先で降り、転入する学校へと向かう――「転校する事になりました――」宣言から3日が過ぎていた――。


とぼとぼ歩くりおんを、同じ制服を着た女子、男子生徒達が、楽しい会話を交わしながら追い越してゆく――。



「出遅れた――」


りおんの足は、重さを増す――。

< 13 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop