適当魔法少女・りおん!!
皇華月(おうかげつ)学院中等部――。
幼稚舎、初等部、中等部、高等部、国際大学と、望めば幼少期から社会に旅立つまで、一貫した「教育」を受けられる、この国屈指の名門校であり巨大な学校法人――。
幼稚舎、共学の初中高等部は同じ敷地に――少し離れた場所に、何故か独立して皇華月女子高等学院が、贅沢な敷地面積の中に存在し、国際大学は隣接する「控えめ」な敷地に静かに佇む――。
りおんは、広大な景色に目を回し、迷い、慌て、何人かの生徒に中等部校舎の場所を聞き、事務局で名前を告げた――。
「ではこちらへ――」
女性職員の案内で、事前に用意しておく様に言われた上履きに履き替え、重い足取りを受け止めた靴を指定された下駄箱にしまう――。
「担任教師を紹介します――」
職員室の隣にある、進路指導室の引き戸を開ける女性職員――。
名称にそぐわない、柔らかい雰囲気の部屋のソファーに担任教師は既に「寛ぎ」、待っていた――。
「担任の、鏡花(きょうか)先生です――」
そう言うと女性職員は、にこやかな表情で引き戸を閉めた――。
「よ、よろしくお願いします――」
りおんの声が、上ずる――。