適当魔法少女・りおん!!
鏡花が自虐的に言い、笑う――。
時折いとおしそうに、お腹全体を手のひらが往復する――。
「子供ができたの――」
新たな命を聖母の様な穏やかな眼差しで見つめ、その行動を不思議がっていたりおんに語った――。
「予定日は――」
「年末か、来年早々になるかしら――」
「おめでとうございます――」
「触ってみる――」
「いいんですか――」
遠慮がちな言葉とは裏腹に、りおんの左手が鏡花の中に住まう命に伸びる――。
服の上からとはいえ、鏡花とは異なる温かい「体温」をりおんは感じた――。
目を閉じ、「新たな命の鼓動を感じるかしら」と、ある種の快楽をも伴い、微笑みながら、りおんを受け入れる鏡花――。
「女の子ですね――」
りおんの魂が、意識と声帯と唇を一瞬支配し、言った――。
しかし、すぐ後悔した――。
「すいません――楽しみにしていたんですよね――」
「それなのに、適当に女の子だなんて――」
瞬時に左手を引っ込め、戸惑っているだろう鏡花の表情を想像しながら顔を伏せるりおん――。
「どうして、女の子だと思うの――」