適当魔法少女・りおん!!
「あぁ、忘れてました――」
廊下に出て、引き戸を閉めようとした時、鏡花は勿体ぶった表情で振り返り、言った――。
「りおんさん、お話があるので放課後、進路指導室に来て下さいね――」
お話――きっとあの件の処分が決定したのだ――。
りおんや、クラスメイトの誰もがそう確信した――。
鏡花がりおんの返事を待たずに、意味深げな笑みを残し、引き戸を閉めた――。
魔法少女もこれで最後――ほっとする気持ちと、魂の奥底で廻る魔法少女の血がりおんの躰の中で複雑に絡み合う――。
想像するに、ひばりやクラスメイト、ステッキさんと別れ、記憶を消され、また「転校」――そして叶えられる普通の生活――そんな結末だろうか――。
所詮は適当魔法少女――。
そもそもの出発点が違う――。
「アンテ、ローグ、コステ――そしてりおん、行きますわよ――」
リンスロットが、じくじくしたりおんの思いに業を煮やし、淀んだ雰囲気を斬り捨て教室を出てゆく――。
「はいよ――」
「はいはい――」
「わかった――」
アンテロッティ、ローグ、コステリッツが続く――。
「りおん――」
ひばりに促されて、反射的に立ち上がるりおん――。