適当魔法少女・りおん!!
鞄から「顔」を覗かせ、在りし日の鏡花をステッキさんの声が懐かしむ――。
しょうのない人――そんな風情の眼を解き、鏡花はりおんを見据える――。
「魔法少女発動停止一週間が、今回の件で監理局が下した処分です――」
「わかりました――」
想定外の「軽い」処分に、りおんの言葉は脱力する――。
「では――」
「うむ、仕方がないな――」
促され、鞄から出たステッキさんが、鏡花の手に収まる――。
「全く、あなたにも責任はあるのですよ――」
「面目ない――」
軽快な操作でタブレット画面を呼び出し、暗号めいた文字や数字を入力しながらステッキさんをたしなめる鏡花――。
やけに素直に従い、鏡花に身を任せているステッキさんを見ていると、何か弱みでも握られているのかと、りおんは勘繰る――。
同時に、自分が「存在」すらしていない若き日の鏡花とステッキさんの手練れた関係性――その幕の後ろにうっすらと見え隠れする「女」の姿――。
鏡花先生も、自分と同じ歳の頃はひょっとして――それと――。
少女特有な嫉妬心のフィルターを追加したりおんの瞳が、子供の様に「可愛がられて」見えるステッキさんを捉える――。