適当魔法少女・りおん!!

「故に、世界は美しく、穢く、愛しく、狡猾なんでしょうね――」


切なく目線を泳がす鏡花――。


自らも蠢き、狡く変化する「世界」の隅に住まう「黒い」人間――。


泳ぎ、行き場のない鏡花の目線の想いを読み解くりおん――。




「私の補足はここまでです――もっと知りたければ、そこのポーターさんに聞いて下さい――私より詳しい事情を知っているかもしれませんよ――」


少し成長した「娘」が棲まうお腹を擦り、優しく言った――。


「うっ――」


ステッキさんは萎縮した――りおんに優しく言いながらも、厳しい視線を自分に向けている鏡花が「怖かった」からだ――。


「りおんさんも何処か納得しない思いがあるでしょうが、世界とはそういうものです――1+1が素直に2ではないのです――」


「魔法少女でしたら、尚更ですね――その為に欧州カルテットの皆さんの仕事ぶりを見てもらいました――りおんさんなりに、それがどういう事なのか含み、理解してくださると嬉しいです――私も、そして――」


本音を隠す様な締め括りで鏡花はりおんを見据えた――。


「では、帰っていいですよ――」


「はい、わかりました――」


素直に鏡花に従い、席を立つりおん――。

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