適当魔法少女・りおん!!
これが欧州カルテット、そしてリンスロットの実力――。
適当な動機と適当な技で、適当に物事を「投げた」りおんは、諌める様に下唇を噛む――。
その後の事は、あまり覚えていない――「何とかフロージョン」とリンスロットが言い、虹色の帯をダークエネルギーに放ち、壊滅してゆく過程――。
壊滅の「置き土産」で「彼ら」が成仏する時に魅せる宝石にも似た煌めきが一瞬、宇宙空間を明るく照らす「景色」だけが、りおんの意識に深く浸透する――。
「さぁ、帰りますわよ、りおん――」
りおんの「適当」を遥かに凌駕するリンスロットの「誇り」が、少女と女の境界線で佇む瞳とともに迫り、圧倒した――。
「あぁ、明日っからどうしようかなぁ――」
「何をさっきからぐじぐじ言っている、りおん――」
「お試し期間終了って事で、夢落ち設定にしてよ、ステッキさん――」
「勝手な事を言うなりおん――既に賽は投げられた――今更夢落ちなんてご都合設定は通用しない――」
「だよねぇ――」
項垂れるりおん――深まる夕日――置き場所のない気持ち――。
いつまでも歩いていたい想いをふさぐタワーマンション――。
別にしなくてもいい会釈を、常駐するドアマンに「演じ」エレベーターホールへ向かう――。
こんな時に限って「素直」な高層階専用エレベーターに乗り、44階のボタンを押す――。
ゆっくりと扉が閉まってゆく――。
「ちょっーと待ったっ――」