適当魔法少女・りおん!!
りおんの「本心」に「そう」と、理解と懐疑心を覗かせた表情を僅かにりおんに向けると、すぐに彼女は視線を正面に戻す――。
「私はね、アイドルもいいけど、普通の女の子にも憧れるよ――」
「制服を着て学校へ通い、友達と他愛ない会話交わしたり、テスト嫌だなぁって思ったり、儚い恋もしてみたい――そして大人に成長してサラリーマンの男性と結婚――ローン組んで家買って、子供は兄と妹の二人でパートなんてやってさ、普通に暮らして子供や孫に看取られて、普通に死んでゆく――そんな私も悪くないかなぁって――」
言葉の背景に、悲しくも美しい旋律の音楽が流れているかの様に、彼女の世界と「叶えられない」希望が音符に貼り付く――。
「でもさ、それって無理な話だよね――私はこの世界に存在し、生きている――パラレルワールドなんてあるかどうかもわからない――それこそ、人間が妄想し、画策し描かれた都合のいい概念と世界――」
「幻影に縋り、魂の救済を得る――」
「――――」
「でも、私はこの世界で生きるしかない――アイドルとして、人々の偶像であり続ける――普通を望む幻影を捨てて――」
「それが、私の定め――」