適当魔法少女・りおん!!
アリスも、ポケットから端末を取り出し、りおんのそれと突き合わせる――。
「ガラケー――」
使い込まれ、風格さえ漂う白いアリスの端末――。
「アリス、スマホって苦手なんだよね――文字が打ちずらくって、イライラしちゃうっ――やっぱり文字打ちはガラケーの物理キーに限るよねぇ――」
苦手と言いつつ、りおんのスマホを器用に操作し、赤外線通信の準備を整える――。
右手に自身の携帯、左手にりおんのスマホ――。
「コネクティブ―アリス――」
「アクセプション――」
アリスの一人芝居でメアド交換が完了――。
無論、りおんもわかってはいるのだが、アリスの「芝居」がいとおしく映り、反応が遅れた――。
「これでわたし達、カップラーになったね――」
遅れを挽回するりおん――。
「だね――」
アリスが微笑み、りおんの元にスマホが戻る――。
「アリス、りおんちゃんと友達になれて嬉しいよ――勿論メンバーや他のアイドルにも仲がいい娘がいるけど、プライベートな友達って一人もいなかったから――」
先程より更に増した笑顔をりおんに照射するアリス――。
しかし、りおんは読み解いた――。
憂い、淋しさ、葛藤――笑顔の瞳の奥で蠢く、深層のアリスを――。