それでも君が好き
「でも、一応、保健室にいったほうがいいよ?それに、一時間目英語のテストだし」

「うん。分かった」

こんなに心配されて幸せ、と少し思うくらい優しかった。

「辛くなったら言ってよ?すぐ、飛んでいくからさっ!!」

笑いながらそう言って自分の席に戻っていった。

残された私はただ固まるばかりだった。

まるで、電池切れのロボットみたいに…。

配られたプリントに目を通しても、頭は問題の一つも考えてくれやしない。

『わたしの彼氏は、神山 瞬だよ』

その言葉がずっと私の耳にこびりついて離れなかった。

そして、生まれて初めて白紙で出してしまった。

それに気づいて後悔したのは、授業が終わった後だった。




「森川…白紙とはどういう事だ?」

昼休み、私は少しハゲあがったおでこに怒りマークをつけた先生に呼ばれた。

理由はもちろん白紙で出した英語のテスト。



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