それでも君が好き
甘いキス
そう心の中で思いながら歩いていると

「あれ?菜穂?どうしたの?そんなに落ち込んで…」

前方に私が落ち込んだ原因、瞬がいた。

愛花ちゃんと付き合っていると思うと無性に泣きたくなった。

だから、思わず言ってしまったんだ。

自分が聞きたくないのに…。

涙がこぼれ落ちないように慌ていってしまったんだ。

「瞬と愛花ちゃんって…っ、付き合っている…のっ?」

そう言った瞬間言ってしまった、と後悔した。

言ってはいけなかった、と後悔した。

瞬は…驚いていた。

ただ、たんに驚いていた。

「菜穂…知ってたんだ…」

「…うん」

そりゃあ、知ってるよ。

彼女本人から聞いたもん。


でも、でもね。

わがままだけど、

わがままなんだけどね。

否定してほしかった。

聞いたのは私だけど、付き合ってないよ、って言ってほしかった。




< 13 / 45 >

この作品をシェア

pagetop