それでも君が好き
すぐに、離そうと思ったけど、瞬がそれを許してくれなかった。

それに、左手は私の後頭部を掴んで、右手は私の腰を掴んで、更にキスを深くした。

そのキスに初心者の私はもう、クラクラで。

息も苦しくなった私は。

「…っは、なして…っ」

そう言いながら瞬の胸を押しても。

やっぱり、離れなくて。

「…っんん、はぁ…っ」

「…菜穂…っ」

キスの合間に私の名前を言う瞬。

なぜか切なそうに言う瞬。

そんな声で呼ばないで。

そんな声で私の名前を呼ばないで。

その声に泣きたくなる。

その声が

その声で私の名前を呼んでくれる日は

いつくるのか。

次は、いつ。

いつキスをしてくれるのか。

最低なことはわかってる。

友達の彼氏とキスをしてるんだもん。

でもね。

夢は見ていいかな?

願っちゃだめかな?

ごめんね、愛花ちゃん。

本当に、ごめんなさい。

今だけは、許して。

立派な浮気だとしても、今だけ。

許してください。



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