今宵、桜の木の下で
「じゃあね、まずは……イクラのママの名前、教えて??」
『ママはね、カネコだよ』
「カネコ??」
『イクラカネコ』
イクラ、カネコ……??
イクラって……名字だったんだ。
「じゃ、イクラの名前はイクラなに?」
『イクラはイクラだよっ』
小さな唇をきゅっと尖らせて、ムッとした表情でイクラは私を見つめる。
慣れた今じゃあ、そんな仕草も可愛らしいや。
「そかそか。じゃあさ、どこに行けばいい? イクラはどこに住んでたかわかる?」
『わかんないよ??』
わかんないかあ……。
ううっ、早速問題にぶち当たってるような気がするぞっ。
「じゃあ、何か覚えてること、ある??」
『おうちのまえにこうえんがあったよ。さくらのはながきれいだったの』
「マンション?お庭があるお家とか?」
『マンショーン。イクラのおうちはマンションの12かい』
よしっ、結構いい情報じゃない??
マンションの12階ね。高いとこに住んでたんだ。
「他、何か思い出せる??」
『えっとー、……おとなりにはおおきなわんちゃんがいた。そのおとなりにはぶっさいくないぬがいた』
わ、わんちゃんと犬は違うのかな……。
しかも、ぶっさいく、――。
……まあ、いいや。
マンションで大型犬が飼える、と。
「それから?」
『えっとー。えっとー。
はちまんさまにおさんぽにいって、おまいりもした』
『ママはね、カネコだよ』
「カネコ??」
『イクラカネコ』
イクラ、カネコ……??
イクラって……名字だったんだ。
「じゃ、イクラの名前はイクラなに?」
『イクラはイクラだよっ』
小さな唇をきゅっと尖らせて、ムッとした表情でイクラは私を見つめる。
慣れた今じゃあ、そんな仕草も可愛らしいや。
「そかそか。じゃあさ、どこに行けばいい? イクラはどこに住んでたかわかる?」
『わかんないよ??』
わかんないかあ……。
ううっ、早速問題にぶち当たってるような気がするぞっ。
「じゃあ、何か覚えてること、ある??」
『おうちのまえにこうえんがあったよ。さくらのはながきれいだったの』
「マンション?お庭があるお家とか?」
『マンショーン。イクラのおうちはマンションの12かい』
よしっ、結構いい情報じゃない??
マンションの12階ね。高いとこに住んでたんだ。
「他、何か思い出せる??」
『えっとー、……おとなりにはおおきなわんちゃんがいた。そのおとなりにはぶっさいくないぬがいた』
わ、わんちゃんと犬は違うのかな……。
しかも、ぶっさいく、――。
……まあ、いいや。
マンションで大型犬が飼える、と。
「それから?」
『えっとー。えっとー。
はちまんさまにおさんぽにいって、おまいりもした』