禁×恋
「きゃぁぁ!?」

近くでは私を見て叫ぶ声、

もう、そこに迫っている何本もの黒い影は、

私めがけてまっしぐら・・・

頭の中が真っ白になる。

(私、死ぬのかな…?)

突如浮かぶ、不吉な考え__

「っ__!」

条件反射で、目を固くつぶる。

ガシャァァン‼

大きく響きわたる音…

「あ、れ?いたく、ない?」

今の音で、凄まじい痛みを、受けるはずの私、

意識がある。

痛くない。

生きている。

私は恐る恐る目を、開ける。

「え・・・?」

そこには、大きな影。

いや、これは、

私より少し背の高い、男の子。

「うそ__っ‼」

私は急いで立ち上がり、男の子の前に回る。

行く途中、もし、男の子が血だらけだったらどうしようとかも考えた、しかし__

「え、どうして・・・?」

その男の子には、少しの外傷もなかった。

私は、目を瞑っていたから、見てないけれど、

確実に男の子は、私を、あの鉄パイプから、かばう位置にいた。

あの巨体を、無傷で、どう、しのいだのだろうか?

浮上してくる疑問を、抑え込み、男の子に近寄って、座り込む。

「あの、ありがとうございます、えと、大丈夫ですか!?」

暗くて、あまり、顔が見えなかったのだけれど、同じ位置に行くことで、その全貌が明らかになる。

「・・・・・」

彼は黙って、私をまっすぐ見据えている。

その、ガラス玉のようにきれいな瞳には、私が映っている。

どことなく、懐かしさ、優しさを感じるのは気のせい?かな・・・

でも、整った顔、精密に作られた人形のように、きれいな顔。
サラサラの髪・・・

なんてきれいなんだろう・・・?

私は、その場に固まったままその男の子を、見ていた。
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