禁×恋
周りは相変わらず、ざわついている。

「ほら、立って・・・。」

「あ、はい。」

男の子は立ち上がると同時に、私に手を伸ばした。

私がその手を持つと、男の子が引っ張ってくれた。

「あの、ありがとうございました。怪我がなくて、よかったです。でも、本当に、大丈夫ですか?」

私は立ち上がった彼に聞く。

立ち上がって見ても、男の子はスタイル抜群。

すると男の子は、

「ん、大丈夫。君は?」

と聞いてきた。話し方、男の子のまとっている雰囲気は、落ち着いているというか、

悪く言えば不愛想?でも、その目には、ちゃんとした優しさが残っている。

(不器用・・・なのかな?)

「私は大丈夫です。」

改まった言い方。ちょっと、失礼、かな?

でも男の子はそれを特に気にする様子でもなく、

「そう、よかった。送って行こうか?」

と、言ってきた。あまりにも唐突すぎて、

「えっ!?だ、大丈夫ですよ‼あ、気を使わしてしまって、すみません。」

と、噛んでしまった。すると、彼は、

「クスッ…大丈夫。じゃ、またね。」

そういって、行ってしまった。

「はい、ありがとうございました。」

最後、少し笑った。

初めて見た、彼の笑った顔。すごく綺麗で、頭から離れなかった。
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