背番号1 ~白球にのせた恋心~


   その人はこちらに気づくと


   なにも言わずに小さく頭を下げた。


  〈ねーちゃんの知り合い?〉


  「ちがう。見たこともない。」

 
   そうこうしているうちに


   監督と私の母がグランドに入ってきた。


   なにか話しているようだがよく聞こえない。


   しばらくすると話が終わったようで、母が帰っていった。


  [はいちゅーもーく!こちら叶 一希(カノウ イツキ)くんだ]


   ああ、かーさんが連れてきた子かな?


  『よろしくおねがいします。』





   

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