君がいるならば
1.残されたもの
この世なんて、とはいったものの、私の人生は随分とあっさり終わってしまった。
『あ~あ…』
空の中で空を眺めるのも悪い気はしないけれど、ただ雲が流れるだけでつまらない。
ふぅ、と体を反転させると、そこには大勢の人が道路を埋め尽くしていた。
まだ、状況は変わってないらしい。
『おっそいなぁ~』
パトカーがわんわん音を鳴らすだけで、野次馬を集めるばかりだ。
『なんでかなぁ…』
ふとその時、私は死んで幽霊になったのだと、ひどく痛感させられた。