ニュートンの誤算
「う、うん。こういうのってテレビよりも面白いって言うし。
・・・次貸そっか?」
慣れない人との会話だと、何だかぎこちなくなってしまう。だけど鈴村くんは嬉しそうに笑った。左の頬にエクボができて、とても可愛かった。
「え、いいの? ありがとう」
「うん! 遅くても明後日なら大丈夫だから」
できるだけ自然に笑い返したけれど、顔が引きつってる感じがする。それに、バスの時間も押していた。床に散乱する紙を回収して、席を立った。
「あ、じゃあね。ちょっとバスの時間が・・・」
「うん、ありがとう」
鈴村くんはまだ残るらしく、その場所で手を振ってくれた。少し照れくさい気もしたいけれど、私もはた目にわかる程度に手を揺らした。
顔が上気して真っ赤なのに気付いたのは、バス停でミラーに移った自分をふと見たときだった。
どうしてだろう。男子になんて興味無かったのに。顔がすっごく熱い。
鈴村くん、鈴村 慧(ケイ)くんは、少し地味めの男子。といっても装飾係の中ではトップレベルの陰じゃなさ。友達もそれなりにいるし、成績も学年で両の指に入るほどだ。
といってもほかの男子達みたいな馬鹿な事はやってなくて、たぶん丁度良い感じで溶け込んでいるのだと思う。
それに背は150センチ程と小さめで(私のほうが小さいが)顔も目が大きくて笑うと本当に可愛い。喋る事は少ないようだけれど、だから他のクラスや先輩の女子には人気がある。
あれ・・・?
「興味が無い」とか言いながらそんな事を考えている自分に、かなり慌てる。バスの中が空いていて良かった。また顔が赤くなっていたから。
・・・次貸そっか?」
慣れない人との会話だと、何だかぎこちなくなってしまう。だけど鈴村くんは嬉しそうに笑った。左の頬にエクボができて、とても可愛かった。
「え、いいの? ありがとう」
「うん! 遅くても明後日なら大丈夫だから」
できるだけ自然に笑い返したけれど、顔が引きつってる感じがする。それに、バスの時間も押していた。床に散乱する紙を回収して、席を立った。
「あ、じゃあね。ちょっとバスの時間が・・・」
「うん、ありがとう」
鈴村くんはまだ残るらしく、その場所で手を振ってくれた。少し照れくさい気もしたいけれど、私もはた目にわかる程度に手を揺らした。
顔が上気して真っ赤なのに気付いたのは、バス停でミラーに移った自分をふと見たときだった。
どうしてだろう。男子になんて興味無かったのに。顔がすっごく熱い。
鈴村くん、鈴村 慧(ケイ)くんは、少し地味めの男子。といっても装飾係の中ではトップレベルの陰じゃなさ。友達もそれなりにいるし、成績も学年で両の指に入るほどだ。
といってもほかの男子達みたいな馬鹿な事はやってなくて、たぶん丁度良い感じで溶け込んでいるのだと思う。
それに背は150センチ程と小さめで(私のほうが小さいが)顔も目が大きくて笑うと本当に可愛い。喋る事は少ないようだけれど、だから他のクラスや先輩の女子には人気がある。
あれ・・・?
「興味が無い」とか言いながらそんな事を考えている自分に、かなり慌てる。バスの中が空いていて良かった。また顔が赤くなっていたから。