姫恋華〜ひめれんげ〜【改稿版】
「父上か……」
ゆらが出て行ったあと、政光はそう言って嘆息した。
「いつまで隠しておけるかな」
若君の苦悩は深い。
水戸のおじいさまはそんな若君を労しそうに見た。
「宗明」
「は……」
「父が京行きを決められた。俺も同行する」
「……は」
「お前は何を置いても、ゆらを守れ。志乃の方の二の舞にはするな」
「元より、それが私の使命でございます」
「志乃の方がこのようなことになった以上、事態は急速に進むだろう。我々が出来ることはただ一つ。時節を見誤らないようにすることだけだ」
政光の言葉に、水戸のおじいさまと宗明は深々と頭を下げた。
ゆらが出て行ったあと、政光はそう言って嘆息した。
「いつまで隠しておけるかな」
若君の苦悩は深い。
水戸のおじいさまはそんな若君を労しそうに見た。
「宗明」
「は……」
「父が京行きを決められた。俺も同行する」
「……は」
「お前は何を置いても、ゆらを守れ。志乃の方の二の舞にはするな」
「元より、それが私の使命でございます」
「志乃の方がこのようなことになった以上、事態は急速に進むだろう。我々が出来ることはただ一つ。時節を見誤らないようにすることだけだ」
政光の言葉に、水戸のおじいさまと宗明は深々と頭を下げた。