姫恋華〜ひめれんげ〜【改稿版】
新之助が近藤のもとを辞したのちに、黒い人影がその部屋に現れた。
「影よ」
新之助と話した時とはまったく違う暗い声だった。
「直隆は少々知りすぎた。あれが京に着き次第、殺れ」
捨て駒はやはり捨て駒でしかないのか。
甥すらも切り捨てる冷徹な主。
その背に、影は静かに頭を下げた。
立ち去ってすぐの部屋でそんなやり取りがあったとも知らず、新之助は京行きを夢見て一夜の宿に床を延べたのだった。
「影よ」
新之助と話した時とはまったく違う暗い声だった。
「直隆は少々知りすぎた。あれが京に着き次第、殺れ」
捨て駒はやはり捨て駒でしかないのか。
甥すらも切り捨てる冷徹な主。
その背に、影は静かに頭を下げた。
立ち去ってすぐの部屋でそんなやり取りがあったとも知らず、新之助は京行きを夢見て一夜の宿に床を延べたのだった。