姫恋華〜ひめれんげ〜【改稿版】
「ところでだ。風間。貴公、ここでの面接、もう一つ目的があるのを知っているか?」
そこで急に声を潜めた久賀。
新之助は怪訝な顔で見返した。
「知らぬ。何だ?」
「そうか。では、あまり周知されてはいないのだな」
「何の話だ」
新之助が話に食いついたのが嬉しかったのか、久賀は「出所は教える訳には行かぬが……」と言いながらもにんまり笑った。
「勿体付けずともいい」
「まあ、そう急かすなって。ああ、でも、あれだな。貴公が採用されなかった場合は話しても無駄になるな」
「……」
「うん。やっぱり、再び用心棒としてここで会った時に教えて進ぜよう」
そう言うと、久賀は引き留める間もなく去って行ってしまった。
新之助は呆気にとられ、浪人たちの中に紛れる久賀の背中を追っていたが、その時再度呼び出しに名を呼ばれ、気持ちを入れ替えるように息をついた。
(採用されても、あの人の話は聞きたくないな……)と思いながら。
そこで急に声を潜めた久賀。
新之助は怪訝な顔で見返した。
「知らぬ。何だ?」
「そうか。では、あまり周知されてはいないのだな」
「何の話だ」
新之助が話に食いついたのが嬉しかったのか、久賀は「出所は教える訳には行かぬが……」と言いながらもにんまり笑った。
「勿体付けずともいい」
「まあ、そう急かすなって。ああ、でも、あれだな。貴公が採用されなかった場合は話しても無駄になるな」
「……」
「うん。やっぱり、再び用心棒としてここで会った時に教えて進ぜよう」
そう言うと、久賀は引き留める間もなく去って行ってしまった。
新之助は呆気にとられ、浪人たちの中に紛れる久賀の背中を追っていたが、その時再度呼び出しに名を呼ばれ、気持ちを入れ替えるように息をついた。
(採用されても、あの人の話は聞きたくないな……)と思いながら。