トモヒーとアイツの何日間(続編)
「ぐひっ!」
変な声を出して痙攣した。
どうやら夢だったようで、目を覚ますと車の中にいた。
街灯の光がある閑静な住宅街。
さっきのは夢だったのだろうか?

思わず車の窓から、ダイニングキッチンのあたりを見た。

しかし、悪夢の続きは突然やってきた。
「うぎゃああああああ!!!」
助手席側の窓からダイニングを見たまま首を掴まれ、そのまま無理な体勢で引っ張り出されそうになった!
視界が赤くなる!
「がっがひっ!!」
運転席側のドアが開く音がし、足を掴まれると、今度は運転席側に足を引っ張り出される!

助手席側と運転席側から体を引っ張られ、背骨が鳴る!
首を捕まれ、呼吸ができず、鬱血する。

俺は赤い視界の中、手探りで必死になりながら武器を探した!
銃やナイフをどうしたっけ!!?
右手の爪の垢を取るのにナイフを使って・・使ってどうした!?

俺はナイフを雑に扱った事を後悔しながら、ダッシュボードの上に置いた事を思い出した!!

「ぐふぅ!」
しかし、右手で探っても何もない!!
あぁあ!!どこにやったっけ!?
「きゃっ!!」
女の子らしき悲鳴の後、車の奥に誰か倒れた。
首が楽になり、視界がひらけた。

「トモヒー!!大丈夫かー!!」
ハッシュの声が2階から聞こえる。
どうやら上からショットガンで撃ったようだ。
「オエッ!ゲホゲホ!あっ!」
両足を見ると、夢で見た夫婦だった。
エプロンとスーツ姿のそのままに笑いながら俺の足を掴んでいる。

「やめろっ!コノヤロウ!!」
無理に引っ張られ、両方の靴がぬげた!
エプロン姿の夫人と男が、靴を持ったまま倒れた!
その拍子に尻をサイドブレーキにぶつける。

「今日はシチューだ!」
男が笑いながら言うとこちらに来た!
「う、うるさい!」
慌てて運転席のドアを閉めて鍵をかけた!

「シーザーサラダもあるわ!!ちょっと待ってて!」
夫人は、玄関前で右往左往している。
家の中に入れないようだ。

その時、サイドブレーキとシートベルトの間に挟まるナイフを発見した!




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