トモヒーとアイツの何日間(続編)
「今何時!?」
「そうね、だいたいねー!!」

深夜1時。
ハッシュの低燃費車がサザンビーチを抜ける。
サザンビーチと言うことで『勝手にシンドバット』をどちらともなく歌った。

「今何時!?」
「ちょっと待っててー!!ウォウォウ!」

車が江ノ島を通過し。
いかにもビーチっぽい店構えの食べ物屋さんを通り越した。
きっと休日ともなれば賑わうのだろうか。

たまに、厳ついアメ車が数台、大音量を流して止まっていた。
あと、やたらスプリングで揺らしている車も。
LEDで光らせた車もある。

「あぁ言うのって、どっから集まって来るのかね?」
と、俺が言うと
「なんでだろね。」
と、さも興味なさそうな返答がかえって来た。

「・・撃ってみる?ショットガンで。」
「は!?」
ハッシュがポツリと物騒な事を言うので驚く。
コイツならやりかねない・・そんな気がする。

「でも、あの中にも少なからず妄霊はいるかもしれないな。」
「マジで?」
コンビニの前でヤシの木のような小麦色のギャルがたむろしている。
本当か?

「うん。俺らの中では『妄霊の癒着』と呼んでいる。周りからも普通に認知され、物に触れ、記憶媒体に残る。もはや人間のそれのように・・」
「はぁ・・。」

「例えばトモヒー?自分が体から抜け出た妄霊じゃないって、どうやって証明できる?物体にも触れて、普通に歩いてるんだよ?」
「え!?どうするって・・うむむ。」

暫く考えた末。
「だったら、妄霊のままでいいんじゃない?生活に支障がなければ・・」
と言う考えに達した。

ハッシュはフッと笑い。
「・・それが妄霊となると上手くいかない事もあるんだよ。これから行く4人の妄霊が良い例だと思うよ。」
と、意味深げに言った・・。

車は材木座海岸を抜け、鎌倉に入る。










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