からまる糸
人生の終わりに

終末期療養病棟にて

 私は宮田ゆき。



 今、私は頭の中で人生を振り返って
みている。



 私には娘はいるが、夫はいない。
死別や離別などでいないわけではない。
あえて最近の言葉を用いて言うなれば、
シングルマザーと言うべきだろうか?

 何故、このような事態になっている
のかとよく友達に聞かれるが、当事者
である私も全くわかっていない。正確
には忘れさせられていたらしい。


 だが、未だに私の気持ちは娘との生
活を幸せと感じており、後悔などない。
と言うか、母も妹もシングルマザーで
それ以外の幸せを見聞きせずにいた。

 それが、周辺の人の常識にあらず、
私たち親子の周りだけのことなんて
思うことはなかった。 

 そして今、わたしはとあるA病院の
終末期治療を受けるため、入院した。

 それにもかかわらず、何故かは知ら
ないが特に焦ってしまう意識はない。
そして、妙に落ち着いていることも、
医師をはじめ誰にも理解はえられない。




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