KISS
◆プロローグ◆
整った顔立ち、
引き締った身体。
そのうえ、なんでもこなして
「彼」は完璧な姿だった。
欠陥というものが無いように思えたぐらい。
あたしの中で高嶺の花でしかなかった。
だから、
いつも遠くから眺める訳でもなく
他の女子みたいに騒ぐわけでもなく。
別に欲しいなんて思っていた訳でも
好きだった訳でもないけど、
「どうせ無理だ。」
そう、諦めきっていた。
彼は綺麗すぎた。
純粋で本当に綺麗だった。
あたしみたいな汚い人間が、触れちゃいけない。―――
だから、
関わりたくなかった。