KISS


暗い顔をしたレンがまた話し出す。


「でも…その人さ、きっと俺と同じで寂しがりなんだ。」


「うん…」


「本当は俺が傍に居たいんだ。…でも…
その人の隣にいるのは、俺じゃ駄目なんだ。」


どうしてそこまで人を好きになれるの?


「本気で好き…なんだよね。」


まっすぐで綺麗な気持ち。


「…うん…」


「手に入れたいよっ…!!」


はじめて見た、レンの弱さ。

なんだか苦しくて。


あたしの気持ちまで、はちきれそうで…―――


「ねえ…レン…」




―――あたしはあなたの名前を呼んだ。
< 105 / 228 >

この作品をシェア

pagetop