KISS
第6章◆線香花火
その日のあたしの目覚めは、お昼。
まだまだヒロとの約束の時間には間に合う。
あたしは準備をはじめた。
髪の毛を巻いて、
自分では着れないからお母さんに浴衣を着せてもらった。
紅い、かわいい浴衣。
「どうしたの?いきなり。去年はめんどくさがって着なかったくせに。」
お母さんは言う。
たしかに、去年はめんどくさくてワンピースで行った。
「気分転換だよ。」
そう言ったけれど、本当はそんなことなんか無くて。
…ただ…
もしレンに会ったら…―――
そう考えてた。