KISS
たまにレンとすれ違うことがあっても、あたしはレンの顔を見れなかった。
見たら、涙が溢れてしまいそうだったから。
ユイちゃんと、2人で廊下を歩いていたのも度々見ていた。
その度に胸が痛んだけど、やっぱりこの気持ちはいつかなくなってしまうんだと思う。
初めて本気で恋をしたけれど、
誰かをこんなに求めたことは無かったけれど。
あっけなく終わってしまった。
というよりも、あたしとレンに、最初から何も無かった。
だから、レンの事を繋ぎ止める事なんてできなかったし、
諦めようと思ったんだと思う。
傍に居たいけど。
居れない。
解ってるんだよ。…うん。
解ってるの…―――