KISS


たまにレンとすれ違うことがあっても、あたしはレンの顔を見れなかった。

見たら、涙が溢れてしまいそうだったから。


ユイちゃんと、2人で廊下を歩いていたのも度々見ていた。


その度に胸が痛んだけど、やっぱりこの気持ちはいつかなくなってしまうんだと思う。



初めて本気で恋をしたけれど、
誰かをこんなに求めたことは無かったけれど。


あっけなく終わってしまった。


というよりも、あたしとレンに、最初から何も無かった。


だから、レンの事を繋ぎ止める事なんてできなかったし、
諦めようと思ったんだと思う。


傍に居たいけど。


居れない。


解ってるんだよ。…うん。



解ってるの…―――
< 156 / 228 >

この作品をシェア

pagetop