KISS


―――

着いた先は、綺麗な海。


「ねえ、レン?

どうして海なの?もう夏は終わったよ?」


笑いながら言うと、
レンは寂しそうに


「うん。」


と言った。


「…レン…?」


「…俺さ、ヒナにまだ言ってないことがあったから、言うためにここに来た。」


「…なに…?
まだ言ってないことって…」


「俺のお父さんとお母さん。

この海に来て帰りに…。死んだ。」


「…っ!?」


「車で来て。帰りに交通事故起こして。

お母さんが、俺のことかばってくれた…


だから俺はいまここに居る。」


「…え!?」


「幸い、お父さんのお母さん…
つまりお婆ちゃんが俺のめんどう見てくれてるけど…」


「…じゃあ…なんで1人暮らしなの…?」



レンからはじめて聞かされた事実に、
あたしはなぜか心臓を押しつぶされたような感覚に陥った。
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