KISS
教室の窓からのぞくレンは、もうあたしの中では
「高値の花」でも
「緋崎レン」でもなくて。

「レン」だった。


「口止め」
に放課後残ってキスをするのではなくて、
あたしがしたいから、
好きだから放課後残ってキスをする。


「汚い」あたしはもういない。
ううん。
最初から汚くなんてなかったのかもしれない。
きっと、汚い人なんていないんだ。
ただ、それに気づけないだけだった。

それは、綺麗なレンを見つけたから気づけたこと。



そう。
全部全部、そうなったのも、

あたしがレンを好きで、
レンがあたしを好きで、

だから付き合ってるからそう思えることだし
そうしていること。



大っ嫌いなだったレンを
大好きになったから。


だから、幸せになれた。


レンの部活が終わったらお礼を言いたい。
ううん。

でも、言葉じゃ言い表せないから…



だから、キスをしよう。

愛しいあなたに…―――



・・・・・・・


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