KISS


「ヒロ。手。」


「え?」


「手、離して。」


「なんで・・・・・・」


「あたし、ヒロの事待ってた訳じゃないの。」


あたしはヒロの手を振り切った。


「ごめん。」


「・・・解った。俺こそごめんな。」


ヒロは帰っていった。―――




「ヒナ先輩・・・。」


「あのね・・・言っとくけど、一応あたしが待ってたのはアンタなの。解ってる?」


「・・・そうだね・・・。」


「大体あたしがあのままヒロと帰ったら鍵、どうするつもりだったの?」


「・・・わかんないや。」


レンが笑うから、あたしも可笑しくなってつられて笑ってしまった。
レンの、綺麗な笑顔。

曇りひとつない笑顔。




いいなあ・・・―――
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