もっと★愛を欲しがる優しい獣

誰があんたとご飯なんていくものですかと思っていたのも、束の間だった。

なぜか私は佐伯と一緒のテーブルでワインなんか飲んじゃったりしている。

(くっそう……佐伯め!!)

帰ってしまえばこちらのものと、そそくさと着替えて更衣室を出ようとしたら、亜由に引き留められてしまったのだ。

「佐伯くんと食事に行くんでしょう?7時に迎えに行くから、退屈しないように私も一緒に居てくれって、佐伯くんが……」

嵌められたと感じるのは、逃げようとしたことを後ろめたく思っていたから?

結局、私は小1時間ほど亜由と鈴木くんの惚気話を聞かされた後、何も知らない亜由によって佐伯に引き渡された。

(何でノコノコついてきちゃったんだろう……)

佐伯が連れて来てくれたのは雑誌に取り上げられたこともあるカジュアルなフレンチレストランだった。

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