もっと★愛を欲しがる優しい獣

静弥くんが帰っていくとリビングは少しだけ静かになり、陽の口数が少なくなった。

そのうち、部活に行っていた櫂や友人と出掛けていた早苗や樹が帰宅するとまた騒々しくなっていく。

我が家の弟妹達は鈴木くんを取り囲むようにしてソファに着席した。

「うーす、鈴木。買い物行くぞ」

そう言って樹が鈴木くんと肩を組む。

「俺も?」

「この特売品の卵はおひとり様1パック限りなんだよ。あんたも当然頭数に入ってるに決まってんだろ?」

櫂がみれいゆのチラシを見せながら、我が家における卵の重要性を強調する。

「ほらチビども行くぞ!!」

樹の号令で皆が揃って移動を開始すると、ひろむが鈴木くんの背中に向かってピョンピョン跳ねた。

「チビじゃないやい!!」

きっと、おんぶして欲しいのだろう。望みが叶うと嬉しそうに背中に頬ずりしていた。

「いってらっしゃーい!!あ、ピーマンも忘れずに買ってきてね?」

……鈴木くんが来るようになってから、我が家の休日はおおむねこんな感じで進んでいく。

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