もっと★愛を欲しがる優しい獣

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電卓を弾いて1週間分の家計簿をつけていると、ソファで寝ていた鈴木くんが跳ね起きた。

「おはよう、起きたの?」

「俺……寝てた?」

鈴木くんはうたた寝していたことに自分でもびっくりしたのか、身体にかけていたブランケットを剥ぐと照れたように顔を覆った。

「それはもうぐっすりだったわよ?」

時刻は既に夜の11時である。鈴木くんが寝始めたのは夕食後のバラエティ番組が始まった辺りだったから、随分と長いうたた寝だ。

子供達はすっかり寝入ってしまい、年長組も各々自分の時間を過ごし始めている。リビングにいるのは私達だけだ。

「うわ……ごめん!!俺、帰るね!!」

……慌てて帰り支度を始めた鈴木くんを引き留めようと思ったのは、ほんの老婆心である。

「もう遅いし、今日は泊まっていく?」

「え!?」

「リビングか、樹と櫂の部屋になるけど。着替えも貸すわよ?」

鈴木くんの方がちょっと背が高いけど樹と同じような体格だし、ジャージやスエットならサイズを気にしなくても大丈夫だろう。

「や、あ、でも……」

「あ、何か飲む?喉渇いたでしょう?」

声が掠れているのに気がついて、冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注いで手渡す。

鈴木くんは麦茶を飲み干すと同時にぷはっと息を吐いた。

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