もっと★愛を欲しがる優しい獣
「美味い……」
「結局、今日一日子供達の相手してたもんね。疲れちゃった?」
そのおかげで私は家事が捗って助かっちゃった。
遊んで遊んで攻撃や、ひまひま攻撃、子供同士のケンカの仲裁に入らなくても良い分、平日に滞りがちなあれやこれを一気に終わらせることが出来た。
「あの4人組は俺に対して容赦ないからね。見てよ、ここ。すっごい痣になってる!!」
そう言ってTシャツをめくると、セカイジャーごっこによる後遺症が脇腹に痛々しく残っていた。
あーあ……。これはしばらく後を引きそうだ。
「構ってくれる大人がいて楽しいのよ。鈴木くん、子育てに向いているんじゃない?良いパパになりそうね」
セカイジャーキックとかセカイジャーパンチを食らっても倒れない怪人は、なかなかいないんじゃない?
正直な感想を述べると家計簿を引き出しにしまって、台所のシンクに置きっぱなしになっていた食器を拭いていく。
「手伝うよ」
「ありがと」
拭き終わったものを渡すと、鈴木くんは寸分の狂いもなく食器を正しい位置に戻していってくれた。彼がどれくらい我が家に馴染んでいるか、それだけでよく分かる。