もっと★愛を欲しがる優しい獣
その27:ファイター
「ねえ、鈴木くん。よかったら私とも遊んでくれない?」
夕食後、姉さんは俺が貸したゲームソフトを携え、ガキどもと一緒にゲームに興じていた鈴木におずおずと申し出た。
(ついにきたっ!!)
姉さんに代わってアイロンがけに精を出していた俺は、手元はそのままに姉さんと鈴木の会話にこっそりと意識を向けた。
「佐藤さんが、ゲームをやるなんて珍しいね?」
「うん!!最近、始めたの!!」
テヘヘと照れ笑いをする姉さんを見て、鈴木はデレデレとしまりのない笑みを浮かべていた。
その笑顔が見られるもこれが最後かと思うと、不思議と名残惜しい気持ちになる。
どう見ても素人の姉さんに負けたとあれば、いつもは涼しい顔の鈴木も悔しさのあまり発狂するかもしれない。