もっと★愛を欲しがる優しい獣
「佐伯、いるかな……?」
「渉?さっき部長の所に呼ばれてったみたいだけど、もうじき戻ると思うよ」
そう言うと鈴木くんは惜しげもなく、キラキラとしたオーラを振りまいた。
同期の中でも出世頭の彼は、ちょっとした有名人である。
亜由から鈴木くんの話はよく聞くけれど、私自身はそこまで彼とは親しくはない。
これほど近くで見たのは初めてだが、内心その顔立ちの美しさに恐れおののいている。
(亜由ってばよく鈴木くんと付き合ってられるな……)
……私だったら、この人と四六時中一緒にいたら落ち着かないけどな。
それとも、上手くやる秘訣でもあるのかしら?
「亜由とは……順調なの?」
おずおずと尋ねると、鈴木くんのキラキラオーラはたちまち増した。
「……おかげ様でね」
……明らかな愚問である。
幸せオーラ全開というか、あまりの眩さに目がチカチカしてくるような思いである。
私は目を擦りながら、つい呟いてしまった。
「亜由が羨ましいな……」
呟いた直後に鈴木くんがいることを思い出し、今度はあたふたと言い訳を始める。